思慮深い。悪く言えば考えすぎ。
あたしはしばしば考えすぎなとこがあって、それが決断させてくれなくて、どうしようもなくなって
結局何もしないことがよくあった。その性格は今も直ってはいない。
後悔は当然のようにした。
寧ろ今までの人生で後悔しなかったことなんて少ないんだろう。
本当に一度だけ死ぬほど後悔したこともある。
けどそれはあたしの人生だからと思って、開き直ってきた部分とこれで乗り越えてきたこともあるっていう
事実に助けられてこんな性格の自分を完全に嫌いになってはいない。それでよかったんだって。
洗面器にかけた手をゆっくり離して無くなりかけのマスカラに手を伸ばした。
叶わない恋じゃなかった。
あれは叶うべきパターンの恋だった。
だけど叶わなかった。それは事実。そしてその後も君とは何もなく終わってしまった。
卒業証書の筒片手に君があの言葉を言い残した後、あたしは何も言えなかった。考えてたんだ、ずっと。
この先の展開を読んで読んで読んでいて、やっと答えが見つかったその時に夕日に重なった
君の姿は既に見えなくなっていたんだ。あたしは声が出なかった。それが君の答えだと思ったから。
だけど、もし、あの時君を呼び止めていたら。
あたしが思考をやめて求め続けていた体を押し付けないでいれば。
それにしたってどうなるかはわからなかったけどそれも人生の一部だったんだって。必要だったんだって。
そう言い聞かせているうちに消え行く思い出と一緒だと思っていた。一種の離脱だった。
なんて3年前の明日のことを鮮明に覚えてるあたしはあたし自身がわからなかったけど。
ちがうとわかったのはごく最近。あれは決して思い出じゃない。思い出にしていたくないんだ。
脳裏に掠めた君の顔はもうはっきりと覚えていない。
だけどあの日感じた焦燥感は日を追うごとにはっきり伝わってくる。
あの日とは、もう何もかもが違うのだ。
夕方には靴擦れと疲労でボロボロになるヒールの高い黒い靴を履いて、誰もいない家に「いってきます」と告げた。
卒業
ラブソング
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(070914)