あたしの親友はよくカッコイイとか言われるけど、本当は物凄く純情で可愛い女の子だった。




Nonstop!Feeling




日本美人を思い浮かばせる黒く真っ直ぐ艶やかな髪の毛を申し分なく靡かせている。
短すぎないスカートの中からスラリと伸びる長く細くて綺麗な白い足は右足を上にして組まれていて
左手は頬杖、右手は文庫本へ。

これがあたしの親友、の基本スタイル。
性格は冷静沈着、年齢の割りに落ち着いて大人びて見える。世の中のものにあまり興味を示さず
愛しているのは本だけ。そんな風に見て取れる彼女。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群、味と見た目を気にしなければ全然料理もOKというまさに誰もが憧れる存在。
そこらの売れないタレントなんかより人気あるんじゃないのってくらいで、当然女性ファンも少なくない。

そんな彼女だが意外にも(っていったら殺されるな)彼氏がちゃっかり居ます。

髪の毛は何を思ったか鮮やかに真っ赤に染められ(年中無休でクリスマス気分かこの野郎。
年がら年中何もせずとも何時何処構わずガムを噛んでいる。

これがあたしの親友の彼氏、丸井ブン太の基本スタイル。
彼のカバンはガム、お菓子、ごくたまに教科書(本当はエロ本だという説もある)、ガム、ガム
とふざけた中身が噂されている。立海大テニス部レギュラーとあって有名だがあたしはここまで
正反対な二人が付き合っているのは現在進行形で正直信じられない。いや、あたしに限ったことではないと思う。
今現在の行動を見てても不思議に思ってしょうがない。

は基本スタイル通りに本に熱中しているし、
丸井くんは世間一般のおじ様おば様からみて言うちゃらちゃらしたような女子に囲まれて
お菓子とかお菓子とかお菓子とかを貰って楽しそーに話している。
は元から男に興味なんかなかったし、もし付き合うとなったら丸井くんには失礼だけど
もっと真面目で清楚な感じな柳生くんみたいな人かと思っていた。
丸井くんだってこんな真面目で堅物みたいなに興味はないと思ってた。今話している子達のような
世間一般のおじ様おば様からみて言うちゃらちゃらしたような女子がお好みかと思ってたし。

だから丸井くんとが付き合うなんて言葉を聴いたときのあたしの驚きっぷりときたら。
蟻がトラウマになりかけた時より酷かったよ。




四限までの授業が終わると昼食。もちろんと丸井くんは一緒に食べることになってるが
悲しいことに独り身のあたしは行く宛ても無くこうして二人の間に割り込んでる。
あたしってものすごーく邪魔者なんだよね。それなら早く男を見つけてきたいものだが
この世に生を授かってから一度もあたしによってきた男なんていない。あははー、もっと世界を平等につくろうよ、神様。
真面目に殺意沸いてくるからさぁ。

とにかくお昼は置いてもらっているあたしを含めて三人で食事をとっている。
今自分で置いてもらってるとかさらっと言ったけど、二人の間に居るあたしって
すっごく自分が惨めなんだよ?可哀想なんだよ?空しいんだよ?


あたしのそんな考えも知らずに二人は会話と箸を進める。

「見てみて、これ!すっげぇ上手そうじゃね?」

丸井くんは朝、世間一般の(以下省略)から貰ったお菓子をあたしたちに見せびらかした。
ケーキだの、クッキーだの、パンだのととにかく甘いものがたくさんはいっていた。
料理だけが致命的に駄目なはどんな反応すんのかと見てみると、
「ふーん」と一言言って続きを食べ始めた。丸井くんは人をからかうのが大好きらしい。特にみたいのが
おどおどしてるのを見るのはもっと楽しい、と以前言っていた。だからのこのなんでもない行動が
丸井くんの悪戯心に火をつけたのだ。には見えない角度で不敵な笑みを浮かべるとおちょくるように
少し裏声気味にに話し始めた。

「えっチャン、もしかしてヤキモチ?嫉妬?ジェラシー!?」

丸井くんを見ることもせずには口の中が無くなってから返答し始める。
声のトーンはいつもより大分低い。

「うるさい、ブン太。3回も同じようなこと言われなくてもあんたと違ってわかるっての。
しかもそんなんじゃないし。それにその妙な『ちゃん』付け止めて。」

はそれだけ言うとまた黙々と食べ始めた。が、お箸でおかずをつつく仕草が一つ一つ雑になっている
ようにあたしには見えた。あーなるほど。なんだかんだ言って満更でもないんだ。
そう思うと普段大人びているが妙に子供っぽく見えてめちゃめちゃ可愛い。
丸井くんはそのの行動を見てか、小刻みに震え声にならない大爆笑をあたしに向けてきた。
あたしも丸井くんと一緒に笑いたかったが角度的にあたしだけは見えてしまうので丸井くんに
苦笑いをして誤魔化した。

に出会って三年目に入るけどここに入ったときから落ち着いていて何が起きても冷静でいられる子だった。
そんなを毎日見てきたあたしは、目の前で起こしているの行動がどことなく子供っぽく
別人のように思えてきて凄く新鮮だった。そんな意外な一面を親友であるはずのあたしに見せたことも
無かったのであたしが丸井くんに嫉妬してしまいそうだった。毎日一緒だったのに、となんとなく悔やんでしまう。
こういうのってなに?愛のパワー(きらきら背景のオプション付)ってやつ!?!?(うるせぇ)
あたしがいろんなことを考えつつ妄想を膨らましているとボーっとして上の空だったあたしにが声をかける。

「どしたの。」
「いや、二人はなんで付き合うことになったのかなーって。」

その問いの丸井くんが即答する。

「いやぁの猛アタックに俺が折れたんだよ。」
「嘘ぉ!?」

あたしは驚きのあまり大好きな卵焼きと赤いお箸を落としてしまった。あたし今なら大袈裟リアクション王とれるよ。
そしてをじっと見つめた。あのからそんな行動を起こすとは到底思えない。
あたしがを驚きの形相で見つめているのに気がついたらしくパッとこちらに顔を向ける。そしてため息を一つ漏らした。

「はぁ…嘘に決まってんじゃない。そんなこと真に受けてるほうが驚きだよ。」

はそう言うとお箸の後ろで丸井くんのおでこを小突き、このアホと小さく呟いた。
おいおいおいおい、今度は背景ピンク色ですか。あたしビジョンにはハートまで出てきちゃったよおい。
丸井くん。嬉しそうに笑わないでよ。ホント見てらんないから。
こんのバカップルめが…!!!!!!!すっげぇ殴りたいよこいつら…!

「じゃあ、どうして?」
「成り行き。」
「はぁ?」

は一言そう言って既に食べ終えた弁当箱に蓋をして片付け始めた。そして朝から読んでいた本を机の中から
取り出して水色のしおりが挟んである場所を開いた。

「ブン太があたしに告ってきたの。それだけ。」
「…それであんたあっさりOKしたわけ?」

丸井くんが隣にいてこんなこと聞くのはどうかと百も承知と思うけど聞かずにはいられなかった。
するとそれを聞いた丸井くんがの代弁するように口を開く。

「だって、俺が好きで好きでしょうがないんだもんな。」

そう言いながらに微笑みかける。そんな事さらっと言いのける丸井くんを見てるとこっちが恥ずかしくなってくる。
あたしは苦笑いをしながらに視線をずらした。いつも通りの無表情に真っ赤な耳…

真っ赤な耳だと!?ちょっと待ってくれよ。あたしなんか無償に泣きたいんですけど。
こりゃ重症ですね。そのあんたらの(主に)頬を紅潮させながらのイチャつきぶりは。
どんなにが頭いいと知っていても今見ればただの阿呆にしか見えないよ。
あれ、お姉さん目の前が霞んで見えないよ。もう明日も見えないよ。

「じゃあさ丸井くんはのどこが好きなわけ?」

「ちょっと」と小さな声が聞こえるがあたしはもちシカトで丸井くんに顔を向けた。

「うーんそうだなぁ…」

真剣に考える丸井くんにあたしは耳を傾け、はいつものように平然を装おうとパックのお茶を
ストローから通して口に入れる。

「…やっぱ」
「うん…?」
体?
「ぶほぉ!?」

は心を沈めるためにお茶を飲んだのに逆に仇となってしまった。びちゃびちゃと押さえた手の間から零れ出る。
口に含んだ水分を一滴残らず吐き出した。あーあーあーあーもったいない。
初めてみました。そんなの古い時代のコントでしか使わないって。
あたしと丸井くんはの行動を見てきょとんとしていると顔を更に赤らめながらタオルで口を拭い
教室の後ろにある掃除箱を開け雑巾を取り出して戻ってきた。あたしたちに背中をむけながら床を拭いてる姿は
照れ隠しにみえてしまう。一通り拭き終わるとため息を思いっきり吐きながらは着席した。
本当にため息だったのかもしれないけれど今のあたしにはそれすら照れ隠しに見えてならない。
は席についてからもう一呼吸おくと丸井くんに問いだした。

「ということはブン太。あたしは体だけの存在ってわけ?」
「だけじゃないって。普段絶対ないヤッたときのエロそうな表情とか?」
「はぁ!?ヤッたときって…だいたいあたしはそんな事してことない!!」
「へぇ。って処女なんだ。」
「なぁ…!?いい?性交遊ってあたしたちの年じゃ犯罪なのよ、わかってる?」

どんどん(いろんな意味でいろんな方向に)ヒートアップしていく二人の会話にあたしは入れる余地も無い。ていうか入りたくない。
ていうかあんた性格変わったよね。こんなにいじられキャラだった?
落ち着いて大人びているといえば名前があがった、あのなのに完全にペースを乱して今はその問いに
答えられそうに無い。…丸井くんの存在は脅威なのかもしれない…!
にやりと笑いながら楽しんでいる丸井くんを見ながらそう思った。

「当たり前じゃん。今日俺ン家来いよ。そしたらも犯罪者にしてやるから。あ、ホテルのほうがよかったり?」
「いい加減にして。そんなことに精をだすなら部活にでも出しなさいよ。」
「大丈夫。部活は手ぇ抜いてねぇから。実は興味あるんだろぃ?」

はついていけなくなったのか、本当に呆れたのか、それとも図星なのか、
丸井くんを横目で見て再び本に手をつけた。心なしか口は尖って頬は膨れて見える。
が拗ねた!の表情をみてあたしの脳が即座に反応する。
もっとからかってやらねば。この判断の速さをどうして別のことにいかせないんだろうと思ったのは言うまでも無い。
どうやら私の中にドSの神様が降臨してきたみたいだ。ていうかそんな神様はいらねぇ。

「ねぇ、丸井くん。もしかして男テニってこんな会話ばっかり?」

適当に思いついた質問で勘の鋭い丸井くんはあたしの考えを読み取ったらしい。
少し口元をあげて答える。

「まぁ男ばっかりの集団だかんな。最近はの話題が多いぜ。」
「へぇー。」

あたしと丸井くんは同時にに視線を向ける。紙パックのお茶を口の中に運びながら本に熱中している、振りをしている。
でもね、そのパックの中身は空のはずだよね?間違いなく動揺の表れだ。
そしてドSの花が開花し始めたあたしは更にハッパをかけようと丸井くんと目を合わせる。

「どんな事?」
は完璧マゾだなって話。」
「はぁ!?」

あたしたちの思惑通り今のは食らい付いてきた。普段なら絶対ないだろう。
どうして今日に限って携帯を持っていなかったのだろう。ムービー撮ってやりたいのに。

「あんたらってそういうことしか考えられないの?はぁ、馬鹿馬鹿しい。」
「…いや、意外とサディスト的なもイケルかも。」

あたしは思わず噴出した。恥ずかしかったからとかじゃなくて想像してしまったのだ、攻め気なを。
あー残念。あたしの想像した放送網がかかって公開できないです。


「あたし幸村くんと真田くんに抗議してくる!」
「あーダメダメ。幸村も真田も経験豊富だから。」
「な!?」

あたしは面白くってしょうがなかった。本当は大笑いしたかった。だってこんなにいい負けしてるなんて
一生に一度しか見れないかもしれないじゃない。の顔は今までと比べ物にならないくらい紅潮している。
そしては愛している本も投げ捨て中身が一滴もなくなった紙パックを投げ捨ててガタンと席を立った。
あたしは今気付いた。クラスで弁当を食べている連中全員の目がにいっているということ。
今のは勿論そんなことに気付かない。持ち前だった冷静さなんてどこかに置き去りだ。
その場から逃げるようにしてドアのほうへ必死に走る。

「もう最悪。あんたらの頭の中意味わかんないし!」

はどこにいったのか知らないけど教室を出てすぐ目の前にある『廊下は走っちゃいけません』のポスターを
ちらりと見ながらも堂々と己の持つ限りの力を全て発揮して暴走していった。
…なんだか微笑ましいよ。青春だな、お前ら。

「あーおもしれぇ。」

丸井くんはそういいながら大爆笑。周りはただただ唖然としている。そんな形がおかしくってとうとう笑いを堪えきれなくなった。
付き合う人によってここまで性格が変わるってことは新発見で新事実だ。もう生物学科の偉いところに提出してもいいんじゃないか
って思うくらいだった。なんだか新鮮だけれど、言っておくけどこれお昼休みだからね?



「…丸井くん」
「ん?」
「あの子は俗に言うツンデレってやつですか。」
「何、今頃気付いたの?


その後あたしは思い出し笑いが絶えず、マクドナルドのマークに敏感になっていた。










――――
まぁなんていうんですか。愛のパワーは凄いよねって話。
中学生ってこんな感じだった気がしたのです。(笑)
すぐごみ箱行きだな、こりゃ。
ホントは拍手夢にしたかったんですけど、文字数オーバー…(あちゃー)
拍手夢どうしよ。
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