このうずうずした気持ちは、春のせいなのか、花粉のせいなのか、
君のせいなのか。
春の青
まだこないでくれ、というこちらの願いは全く聞き入れずやってくるあいつ。
冬眠してた動物が少し体を動かすとともに飛んでくるあいつ。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、喉のかゆみ、目のかゆみ、時には微熱さえ症状としてあらわれる。
本気で俺はもう公害に認定してくれないかと思っている。
そう、花粉。
俺はあれが天敵で、いつも薬なんて飲み忘れる俺は今年もすでに目と鼻はやられている。
まだ微熱が何日も続いていないだけマシだと思えるけど、今年は去年の十倍とか言うんだからこれから先の
季節が怖くて仕方ない。
花粉のせいもさることながら何も予定のない日曜日は、家でだらだらすることこそちゃんとした過ごし方だと思う俺に、
わざわざ用事をいれたがる奴の気持ちは全くわからない。同上の理由で、赤也に執拗に遊びに誘われたが断った。
だから家で一日寝てるつもりで外なんか全然出る気なかったんだけど、
最近見てない顔に急に会いたくなってスギ花粉舞い散る中わざわざ出掛けた。
思い立って家を出てから一時間。彼女の家の前について玄関先の「」という苗字の下にあるインターフォンを
押しかけて手を戻した。特に連絡したわけでもないので家族とか、特にお父さんとか兄貴とか出てきたら
気まずいこと間違いなし。そう思って携帯のアドレス帳を開いた。
2、3回コールすると「ブンちゃん〜?」という力ない声が聞こえて、二階の窓が開いた。
当然寝巻のまま。髪の毛はぐっちゃぐちゃで、目も半分くらいしか開いてない。
目を擦りながらこちらに手を振ってくる姿がなんとも愛らしくて笑えた。
5分だけまっててと言われたので壁にもたれ掛かって座りながら待っていた。
路地に吹き込んでくる風には一瞬びくっとするような冷たいものはあったけど、
もうずっとつんとするような冷たさはなく、南風の暖かいふわふわしたものを含んでいた。
暖かくなることは寒さを我慢しなくていいことなので、目がかゆくなるのは我慢。
そう思って目を瞑るとすっと春の匂いが鼻腔をついてきて、急に眠たさとだるさに襲われた。
眠りに落ちそうなちょうどその時に、「なにやってんの」と苦笑まじりに近づいてきた彼女の声が聞こえてはっとなった。
彼女はとりあえずTシャツを着替えてきたという感じが、ぼさぼさのままの髪の毛と一緒に見てわかった。
そういう無頓着さを、付き合い始めの頃の頑張ってた感と比較していて可笑しかったりとか、嬉しかったりとかした。
「あ、今日ガム違う味の食ってるーグリーンアップルやめたの?」
「気分気分。今すっごい甘いの食べたかったの。」
「イチゴすか。」
はドア先の扉を開いてこちらへ向かってくる。まだ半袖の季節ではないだろうと心でつっこみながら
Tシャツの彼女を見ていると、は案の定と言うべきか、くしゃみをした。一回伸びをしてとても眠たそうな表情に
ちょっと悪かったかななどとガラにもないことを考えたりだとかしてみたけど、
色気の感じられない大きな欠伸を見てその考えは一瞬で消えた。これはきっと良い意味で。
「で、今日どしたの?ブン太が用もないのに来るわけないよね。」
「別に…用なしで来ちゃだめなの?」
「ふふふ。わかっちゃったよ。最近あたし学校行かないから寂しくなって来ちゃったんでしょ。」
「…正解っ」
パチンとならしたその指をそのままに向けると、素直に俺が答えるわけないと思っていたのか
一瞬きょとんとした。そのあとは普段あまり見せなような、へらっとした笑顔を見せた。
「ね、今日凄いあったかいね」
は立ち上がってそう言うと、太陽に手をかざしながら空を見上げた。逆光は視界を鈍らせる。
見えるべきものがなかなか見えなくて苦労する。きらきらに光る君が、さらにそれを見えなくさせてる。
でも、もうどうでもいい。ただ今日という日にお日様が照っていて、雲は気持ちよさそうに浮かんでる。
ただそれだけのことだった。そう思った。
「お散歩いこーよ。」
今のアングルのを写真におさめたいと思ったのは、きっと彼女の見上げる先にいつも俺がいればいいなと思ったから。
「おう。」
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ちなみにこの後の散歩地は土手です!(笑)
久々なので短くてすみません。
08/03/22