思っているだけじゃ、伝わらない。
そんなのわかりにわかっていて、知りすぎているから呆れてくる。


世界の中でほんの数人、人の心を読むことが出来る人がいるって聞いたことはあるけど
それでも数人なわけでどこにそいつがいるかなんて探すほうが馬鹿げた話。
とりあえずあたしの横にいるこいつは何にも考えないような能天気な奴だから
人の心を読むなんて、ありえない。


だからあたしが今どう思っているかなんて気付かないでしょう?
事実、あんたはあたしの気持ちにもう五年も気付いてないんだからね。

だけどこういう奴ほど厄介なのかも。もし勘のいいやつだったら、もうあたしなんかに
とっくに気付いてて少しは意識したり、あるいは避けられるかもしれない。
可笑しな話。あたしはどっちを望んでいるんだろう?


だけどやっぱり伝えなくちゃこいつには伝わらなくて、でも伝えられない。

カッコイイ?
すっげぇ好きだから?
話していると楽しい?




チガウ。あたしはそのあとのこいつが怖いんだ。




思っているだけじゃ、伝わらない。
そんなのわかりにわかっていて、知りすぎているから呆れてくる。
だからこそ何も言えないまま、この五年目の冬が過ぎようとしている。

あたしは男子とじゃれ合う小学生みたいなそいつのかばんに
どかっと鞄に足跡をつけて一言いった。それだけだった。


「帰るよ」






ビバーナム・ティナス











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ビバーナム・ティナスは1月23日の花で意味は「私を見て」
(061218)