目覚めると、そこは見知らぬ教室だった。



序曲  OVER TURE



心地よい夢を見ていた。はっきりとは思い出せなくともうっすらと感覚だけは覚えている。

周りに広がる景色はパステルカラーで彩られ、嫌なことなんてすぐに忘れてしまった。

夢の中の自分はテニスで頭がいっぱいでそれなりに生活を楽しんでいた。楽しかった。


しかしどうだろう。この長い長い夢はどこかしら現実を忘れてきてしまっていた。

どこからが夢だった?そんな問いかけに選択肢などない。急に引き戻された現実には色気などなく、

ただ薄暗い教室に残されただけだった。

今までは全部夢。そして生々しく気味の悪い景色は突きつけられたただひとつの自分のリアルだった。

それでも自分たちはどうにか現実から目を背けようと夢を見続けてきた。幼い自分達はそれしか方法が見つからなかった。



夢とはつまり理想だ。その理想に依存しすぎていた自分は突然現実が「ただいま」も言わずに戻ってくると

自分の対応能力を超えてしまうから「おかえり」とも言えずにただ呆然としていることしか出来ない。

夢は時に残酷で今までを全て無に還らせる。夢の跡に残るものなど何もない。

何かをしたければ対価を払うのがこの世のルール。夢の見すぎで今回の代償は大きい。

自分しかなかった。自分を守るしかなかった。自分が壊れるのはわかっていた。それでも自分しかなかった。

でももう遅い。目を閉じても閉じても瞼の裏から現実が入り込む。それならば自分達はどうするべきだろうか?

諦めたように全てを見る覚悟をするのか。それとも限界まで夢を見続けるのか。





どちらを選んでも、進むのはただ崩壊の道。絶望でしかない。










さぁみんなおきて。げんじつのせかいがかえってきたよ。











「これからみんなにちょっと殺し合いをしてもらいます。」











夢であってほしいと、未だに縋り付いていた。