「あたし、年下の彼氏って一回付き合ってみたかったんだよねぇ。」
俺が何度も戸惑い、やっと決心がついて告白したときの、あんたの返事がこれだったんだ。
一世一代の大勝負は悪戯っぽい笑顔に受け止められた。
どう反応していいかわからなかった俺に、あんたはいきなり「赤也」と名前で呼んだ。
世間一般から見てこの人に綺麗とか可愛いとか、そういう形容詞はつけないだろう。
似合わない。それなのに俺はあんたに惹かれる。だけど俺はもともとこの人の内面とか性格とか知ってるわけじゃなかった。
明らかに一目惚れに近かった。不思議な気分だった。
俺があんたを学校内で見つけたとき、たいてい一人だった。友達がいないわけじゃない。
寧ろ多いほうで潔くさっぱりとした性格に両性から慕われていた。
俺は直感でこの人のことを見抜いていたんだろうか。そんなことを考えていたのはあんたと関わりを持ったその日から
一週間は経っていて俺はあんたのことで頭がいっぱいだったから
細かいことはどうでも良くなっていた。だけれどあんたは一人を好む。
あんたはいつもこう言っていた。
自分の作り上げた空間を壊されたくない。
初めて言われたときはさっぱりだった。頭の悪い俺は咄嗟に理解が出来ない。だけどあんたはそれ以上何も言わない。
二度と会えない人間だと感じていた。手放したくない。そう考えてあんたを見つめてみるけど幾度考えても俺は此処に辿り着く。
あんたが言うその空間ってのを壊してみたい。
結果から言うとそれは叶わなかったわけだが、その空間が成している意味くらいはわかった気がする。
それでもあんたを知るごとに壊したくなった。
だけどあんたを知り尽くして行動に移ったその後からは何もかも忘れていた。
そしてあんたは、音沙汰無く俺の前から突然消えた。
当たり前のことに上を向く。
意味を持たないその行動もあんたを思い出すためだけの意味あるものに変わっていく。
それなのに、俺はあんたを思い出せない。知りすぎだあんたを、受け止められない。
俺の力量が足りなかったのか。
怖くはなかった。案ずることさえしなかった。気がかり、といえばそうでもなかった。安心しきっていた。
あんたは俺より一個上だから俺より一年早く卒業する。外部の高校を受けたあんたは俺より三年早くこの学校を去る。
なんとなく信じられなかった。
同じ時を過ごしていても同じ空間にはいられない。必要外だ。
これがあんたの言う「空間」ならばあんたにとっての「切原赤也」の存在はあっても、
何も変わらないものだったんだろうか。
本当はずっと前にそんなこと気付いていた。それでもよかった。当たり前だ、そんなこと。
俺のエゴだからあんたにとっての俺がどんな存在であろうが構わなかった。
それなのに俺はあんただけを考えて上を向いているしかなかった。
それはもう過ぎ去った日々
短すぎの矛盾だらけでスマセ;